滅びよ、終身雇用

岸田政権が、終身雇用などの日本型雇用の改革を行う方針とのこと。

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これは前から言っていたことで、自民党内でも細野豪志なんかも言っていた。
私はこれに関してはおおむね賛成。
というか、氷河期世代でうまくいかなかった人たち、基本的に終身雇用なんかぶっ壊れろと思ってますよね。
あれ、私だけですかね。

ただし、この記事のヤフコメ見ると、有識者欄もヤフコメ民も批判一色で、終身雇用は素晴らしいみたいな人たちばかり。終身雇用の既得権益者か、それに憧れているワナビーか知りませんが、絶望感を禁じ得ません。
いわく、「終身雇用の廃止は新自由主義だ! 優秀な人はいいけど、優秀じゃない人はどうするんだ!」と。

ふざけんな、と。
競争に勝ち残れない人を、終身雇用は救うんですか?
否、です。

この人たちは、「終身雇用のイス」が日本の労働者全員に人数分確保されている、という空想上の前提で話しております。
「終身雇用のイス」をゲットするのにもすでに競走が発生しており、そしてその競争は終身雇用でない場合より明らかに不公平で、競争に何らかの理由で負け「終身雇用のレール(新卒一括採用⇒年功序列⇒定年退職)」から外れると、新自由主義さながらの負け組固定化の状況が発生、二度と終身雇用のレールに戻れなくなります。しかもその時代時代の社会状況により、「終身雇用のイス」は大きく不足することまである。氷河期時代というのがまさにそれ。

以下に、私が認識している終身雇用のメリット・デメリットを上げておきます。

◎終身雇用のメリット

・企業が効率的に採用活動を行える。
・社会的に無垢な若者を大量に雇い、自社の風土や価値観をインプットしやすいため、「良き社畜」を効率的に生み出せる。
・会社の言うがままに従っていれば、とりあえず食うには困らず一生安泰。(会社がつぶれなければ)
・無能な人でも、大きな損害を出したりしなければ、会社に居続けられる。

×終身雇用のデメリット

・総合職、一般職、ジョブローテというシステムのため、専門的なスキルを有する人材が育たない(その会社の中だけで通用する“世渡り術”みたいなものしか養われない)。また、専門的なスキルを有する人材をうまく扱えず、下請け化したり非正規雇用に依存する(無能な高賃金正社員と、エキスパートながら定収入な下請け・非正規みたいなことが起こりがち)。グローバル化によりいろいろなことが複雑化しているため、専門的なスキルを持つ人材のニーズが高まっているにも拘らず、である。
・理不尽な上下関係と理不尽な業務。
・年功序列のため、入社した瞬間は非常に給料が低い。転職で年収が下がる理由でもある。若いうちは冒険できるが、中高年になるとリスクが増大、どれだけ会社に対して不満があっても辞めづらい。グローバル経済に巻き込まれている現状、会社の事業が何十年も全く変化しないということなどないため、不満が溜まりやすい社会に=社員の熱意の低下。
・終身雇用システムの要「新卒一括採用」に採用の多くを割いているため、転職や社会復帰の窓口となる中途採用の枠が少なく、雇用流動性が低い。転職のリスクが激増し、不満を抱えつつ同じ会社に勤め続けメンタルが疲弊する。
・「新卒一括採用」のせいで、大学生の多くが就活のために大学に通っているという変な状況。専門的なスキルも身につけていない。
・「未経験歓迎」な求人が、誰にでもできる簡単なマックジョブ的な仕事か、そうでない場合は新卒一括採用に集中しているため、新卒採用で失敗して非正規などに零れ落ちると、「経験者優遇」の求人に受かりづらくなり、詰む。そのため、第二新卒とかいう謎のカテゴリーや、大学をわざと留年して新卒の顔をしようとする者が発生する(今はどうか知らんけど氷河期時代には実際にけっこういた)。
・中途採用するにしても、基本何十年もこの先雇用し続けるつもりで採用するため、「ハズレ人材」を引かないように異常に委縮したり高望みをしがちになる。変な奴採用したら社内での評価に関わるし。同時に、自社の風土や価値観に染め上げられる余白の少ないアラフォー以上の人材を避けがちになる。
・年功序列とはいえ、現在では多くの人が一定のところで昇給が無くなる。社会保険の増加や、労働者の数が中高年に偏っており年功序列の高賃金管理職のイスが目詰まりを起こしているため。どれだけ頑張っても出世もしなければ報酬も無い。
・無能な管理職の大量発生。管理職のエキスパートがやるのではなく、歳いったベテランが適正も無いのにやらされがち(適性が無いのに自分は管理職相当の人間だと自負しているタイプが一番厄介)。町内会の役員みたいなシステム。
・労働者と会社が「私の世話をしてください」「お前らの世話をしてやろう」という、江戸時代の封建社会のような関係性なので、ブラック企業(悪い殿様)が蔓延しやすい。
・以上のことから社員の意欲が上がらず、自立心も醸成されづらいため、欧米型のビジネスと闘うことになった際、日本は労働者の士気が低いので勝てない。それゆえ日本国内のマーケットに引きこもりがちだが、鎖国しているわけではないので日本国内のマーケットにも外資の会社が入り込んで商売しており、徐々にその「領地」も減ってきている。

風通しの良い明るい社会になれば良い。今は陰気で陰湿。

もっといろいろ書けそうですけど、とにかく私は大学卒業時に目の当たりにした就職難で、「終身雇用は人の人生を詰ませるクソ制度だわ」と、完全にアンチと化したのでこんな認識になっております。

まあ、終身雇用既得権益者、特にもうすぐゴール(定年)を迎える人たちは絶対にこれを壊したくはないでしょうから、岸田政権のこの方針を批判する人が多いのも分かります。
が、Twitterとか見てると、けっこうな人数で、非正規雇用の人が終身雇用に憧れてるんですよね。
中には加速主義的な考え方で、一度日本の社会システムを破壊するために終身雇用賛成と言ってる人もいるみたいですが、立憲民主党、共産党、れいわ新選組などの左派政党が「終身雇用復活」みたいなことを主張しているので、まあ実際純粋に「良き昭和の終身雇用幻想」を夢見ている人が多いんでしょう。

と考えると、「終身雇用制」は日本人の多くが望む民族の呪いのようなもので、これにアンチを唱える私はこの国で生きづらくなるのは当然ですが、しかし一方で、岸田総理もこれに関してはなかなか踏み込んだことするなぁと。まあ、反対が多くて検討しただけで終わりという、いつものキシダメムーブかもしれませんが。

現状、転職活動が上手くいかず悩ましい40代無職の私の憤りでした。
会社がバンバン解雇するみたいな状況にならずとも、労働者側がもうちょっと、会社辞めたり転職したりしやすい状況のほうが、日本社会がもうちょっと明るく風通しの良いものになるんじゃないかな、と思ってます。

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