読書感想文

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J・D・ヴァンス『ヒルビリー・エレジー アメリカの繁栄から取り残された白人たち』(2016年作品)

 日本には、ことあるごとにアメリカの事例を持ち出してくる「アメリカ出羽守」が大勢いる。「アメリカ」を良い例として紹介したあとで「それに引き換え日本は……」と続き、アメリカの良い例を日本にも導入するべきだと主張してくる人たちだ。それでまあ本...
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堀越耕平『僕のヒーローアカデミア』に見える、社会の包摂力について

 ヒロアカの世界における「悪(=敵)」の定義は「群れ(=社会)に対し危害を加えるもの」である。さらに「悪がなぜ群れに危害を加えようとするのか?」の原因を「特定個体を排除する群れの習性」に求めている。  「みんな仲良くしようよ」という平和的な...
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社會部部長『あの国の本当の思惑を見抜く 地政学』(2025年作品)

 毎年夏になると出てくる反戦コンテンツ。繰り返し繰り返し「戦争のひどさ」を伝えてくる。良い加減うんざりである。戦争を知らない子供たちに見せるのはいい。戦争を起こさず平和を愛する大人になってほしい。しかし、こちらはもう「ひどさ」は分かって...
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河野龍太郎『日本経済の死角』(2025年作品)

 BNPパリバ証券のチーフエコノミスト、河野龍太郎氏の一般向け経済評論。  氏のことはReHacQの動画で知ったのだが、本題に入る前にまずReHacQなどのビジネス系動画チャンネルについてざっくり私見を述べておきたい。  NewsPic...
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アンナ・レンブケ『ドーパミン中毒』(2022年作品)

 私たち現代人は娯楽漬けの廃人になっているんじゃなかろうか?  最近、そんな問題意識がどういうわけか頭から離れない。  労働をして肉体疲労と精神的ストレスを溜め込む。それを解消するためにバカみたいなものに金(ソシャゲ課金とか)と時間(ひた...
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坂口安吾『金銭無情』(1947年作品)

 安吾の作品には失敗作も少なからず存在しているが、この作品は、物語の途中で突如語り手が登場し話を端折る場面があったりすることから、まさに失敗作なのだろう。しかし、失敗作=つまらない作品、というわけではない。「戦後のドサクサ」とはよく言われる...
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ティム・ブラウン『デザイン思考が世界を変える』(2019年作品)

 現代を生きるデザイナー必見の著書ということで、前職在職中に読んだ本。  物理的な商品を作る「職人としてのデザイナー」から羽ばたいて、設計という思考方法を活かし、体験や組織の仕組み、ワークフロー、広告手法など、プランナーやプロデューサーみ...
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小川洋子『揚羽蝶が壊れる時』(1989年作品)

 学生時代はとにかく本を読んだ。国文学生だったからでもあるが、止むに止まれぬ思いを抱えて読書していたように思う。端的に言えば精神不調。人との関係性をうまく構築出来ないことに悩みを抱え(同じ学生に声をかけることすらままならない)、「行人を眺め...
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芥川龍之介『或る阿呆の一生』(1927年作品)

『ドラゴンクエスト7』という、非常に後味の悪いショートストーリーがたくさん詰め込まれた名作鬱ゲームがあり、世間の評判をよそに私は割とドラクエ7が好きだが、その中で村人全員が石にされてしまった村の話があり、夜になって石になった村人に話しかける...
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芥川龍之介『歯車』(1927年作品)

 ブログ名を『40代派遣社員の読書感想文ブログ』という、いかにもプロレタリアートなムード香るタイトルに変更したそばから、プロレタリアどころかいきなり『歯車』ってのはメンタル大丈夫ですか。と我ながら自嘲せずにはいられないが、まあここ最近、学生...